けつろん
結論
体や顔を人や家具にこすりつけるスリスリは、あいさつ・親しみと、自分のにおいをつけるマーキングをかねた行動です。
- 顔やしっぽの付け根をこすりつける → 自分のにおいをつけるマーキング
- 好きな相手へのあいさつ・かまって → 親しみの表れ
- 帰宅時に足元でスリスリ → 再会のうれしさとにおいの確認
意味と考えられる理由
猫の顔まわり、頬、あごの下、耳の付け根には、においを出す臭腺が集まっています。すりすりとこすりつけるたびに、猫は自分のにおいを相手にうつしています。つまりすりすりは、甘えであると同時に、「自分のにおいをつけて安心する」マーキングでもある。ひとつで二役の行動です。 においつけと聞くと事務的に感じるかもしれませんが、猫にとって、自分のにおいがする場所や相手は「安全の証明」そのものです。大事な相手だからこそ、においをつけて自分の世界の一部にしておきたい。甘えとマーキングは、猫のなかでは矛盾なく同居しています。 帰宅したときに足元へのすりすりが集中するのは、外のにおいをまとって帰ってきたあなたに、おうちのにおいを上書きする「おかえりの儀式」です。ごはんの準備中のすりすりは、おねだりのアピールが濃いめ。新しい家具や買い物袋にすりすりするのは、見慣れないものを自分のにおいで「うちのもの」にしておく確認作業です。相手が人でもものでも、根っこにあるのは「安心したい」という気持ちです。 頭をごちんとぶつけてくる「頭突き(バンティング)」は、すりすりの近縁で、気持ちが強めに乗ったバージョンと言われます。頭突きからの頬すりすり、という流れもよくあり、どちらも信頼している相手にだけ見せる行動です。 子猫のうちは、すりすりよりも母猫にくっつくことで安心を得ています。においづけとしてのすりすりが本格化するのは、大人になってからと言われます。成猫のすりすりには、あいさつ・おねだり・なわばりの確認と、大人ならではの意味が何層にも重なります。多頭飼いで猫同士がすり合うのは、においを混ぜて「同じグループ」であることを確かめ合う行動とも言われます。 すりすりされたら、信頼とあいさつのサインです。しっぽを立てて近づいてきてのすりすりなら、歓迎の気持ちはほぼ間違いありません。なでて応えるもよし、忙しければ声だけ返すもよし。あなたのにおいと猫のにおいが混ざった空間こそ、猫にとっての「安心なわが家」です。すりすりのついでに口元を何度も強くこすりつけて気にする様子があるなど、いつもと違う仕草が続くときは、獣医師さんに相談してください。
すずの場合
すずは、すりすりをあまりしないタイプです。帰宅時に足元へ、というのも時々あるくらい。そのかわり、買い物袋や段ボールが届くと、頬でしるしを付けるより先に、中へ入ろうとします。甘え方も点検の仕方も、猫それぞれのようです。
関連する猫辞典
よくある質問
スリスリしてくるのは甘えていますか?
甘え・あいさつの気持ちと、自分のにおいをつけて安心するマーキングの両方をかねています。信頼している相手に見せやすい行動です。
帰宅したときだけ激しくスリスリするのはなぜですか?
外のにおいをまとって帰ってきた家族に、自分とおうちのにおいを上書きする「おかえりの儀式」と言われます。再会のうれしさも混ざっています。
家具や荷物にスリスリするのはなぜですか?
見慣れないものに自分のにおいをつけて、「安心できるもの」にしておく確認行動です。なわばりを整える自然な行動なので心配いりません。
参考にした考え方
- 臭腺によるマーキング(ラビング)に関する一般的な知見
- 親和行動・グループ臭の共有に関する一般的な猫の行動学の知見