
結論
猫がなつかないのは、時期・環境・接し方・性格のどれか(またはいくつか)が理由のことが多く、その大半は時間と接し方で変わっていきます。基本は「追いかけない・待つ・猫から来たときだけ構う」。保護初日にシャーと威嚇していたすずも、3か月で「つかずはなれず」まで来ました。警戒は猫の才能。時間はあなたの味方です。
うちのすずは、保護した初日、家族がのぞき込むたびに小さな体で「シャーッ」と威嚇する子でした。
それから3か月とすこし。いまは赤ちゃん抱っこをすると、しっぽをゆっくりパタパタさせてくれます。呼んでも来ないくせに、気づけば同じ部屋のすみにいます。
「猫がなつかない」と検索しているあなたは、いままさに、あのころのわが家と同じ場所にいるのかもしれません。この記事では、なつかないと感じるときに考えられる理由と、今日からできる接し方、そしてすずが心を開くまでの実録をまとめます。
猫がなつかないと感じるのは、どんなとき?
まず、「なつかない」の中身をすこしほどいてみます。よく聞くのはこんな場面です。
- 名前を呼んでも来ない、見向きもしない
- 触ろうとするとスッと逃げる
- 家具のかげに隠れて、なかなか出てこない
- 近づくと「シャー」と威嚇される
じつはこの4つ、深刻さがぜんぶ違います。威嚇はまだ警戒の段階、隠れるのは様子見の段階。そして「呼んでも来ない」は——猫と暮らしている家庭ならわかると思うのですが、なついていても普通にやります。どの段階にいるかで、焦る必要があるかどうかが変わってきます。
猫がなつかない理由は、大きく4つ考えられます
猫の警戒心は、外の世界を生きぬくための標準装備です。それを前提に、なつかない理由としてよく挙げられるのは次の4つです。
1つ目は、時期。 まだ環境に慣れる前だということです。迎えたばかりの猫にとって、家は「知らないにおいだらけの場所」。人に心を開くのは、場所に慣れたあとの話とされています。
2つ目は、環境。 隠れられる場所がない、生活音が大きい、来客が多いなど、猫が「安全確認」を終えられない環境では、警戒が解けにくいと言われます。
3つ目は、接し方。 追いかける、抱き上げる、目をじっと見つめる。人間にとっては愛情表現でも、猫の作法では「圧」になりがちです。よかれと構うほど逃げられる、という悪循環はここで起きます。
4つ目は、性格。 そもそも用心深いタイプの子、甘えの表現がひかえめなタイプの子がいます。これは後半でもう一度触れますが、「なつかない」のではなく「表現が静か」なだけのことも多いのです。
初日「シャー」だった保護子猫、すずの3か月
わが家のすずは、4月の夕方、川のへりで鳴いていたところを保護した子猫です。当時の体重は590g。動物病院の見立てでは、生後1か月とすこしでした。
初日の夜のことははじめての夜の記事に書きましたが、段ボールの寝床から、のぞき込む家族に向かって「シャーッ」。あの小ささで精いっぱい威嚇する姿は、いま思えば「怖い」の裏返しでした(子猫のシャーが続いた話はこちら)。
3か月たった現在のすずはというと——
- 名前を呼んでも来ない。ただし耳としっぽで返事はする
- 膝には乗る。ただし向こうの都合のいいときだけ
- キャットタワーには登れるのに、なぜか登らない。押し入れには飛び込む
- 赤ちゃん抱っこをすると、しっぽをゆっくりパタパタさせる
先日、サイトに作ったなつき度診断で計ってみたら、20点満点中11点の「つかずはなれず期」でした。べったりには程遠い。でも、初日のシャーを知っている家族からすれば、これはもう大進歩なのです。
なつかない猫への接し方は、「待つ」が基本です
すずとの3か月でわが家が学んだこと、そして猫の行動の解説でも繰り返し語られることは、結局ひとつに集約されます。「人からは行かない。猫から来たときだけ、たっぷり構う」です。
具体的には、こんな形になります。
まず、追いかけないこと。逃げた猫を追うと、「この人は追ってくる」という学習だけが残ります。逃げたら、その日はもう終わり。
次に、姿勢と目線を低くすること。立ったまま見下ろされるのは、猫にとってかなりの威圧です。床に座って、目を合わせすぎず、そっぽを向いているくらいでちょうどいいとされています。
おやつは、手から食べさせようとせず、そっと置いて離れる。「この人がいると、いいことがある」の実績づくりが先で、手渡しはその実績が貯まってからです。
隠れられる基地を用意して、そこにいる間は構わないこと。「いつでも逃げ込める場所がある」という安心が、逆に出てくる勇気につながると言われます。ケージや箱を嫌がる子への工夫はケージを嫌がる子猫の記事にまとめています。
そして、遊びの時間を毎日すこしだけ。猫じゃらしなどで1回5〜10分。距離が縮まらない時期でも、遊びだけは乗ってくる子は多いです。
猫がなつくまでの期間は、どれくらい?
いちばん聞きたいところだと思うのですが、正直に書くと、幅がとても大きいです。数日で膝に乗る子もいれば、数か月単位でゆっくり縮めていく子もいます。保護猫や外暮らしの経験がある子は、時間がかかる側に寄りやすいと言われます。
わが家の実感としておすすめしたいのは、期間の「長さ」ではなく「方向」を見ることです。よその子と比べると焦りますが、先月のうちの子と比べれば、耳の返事が増えたとか、逃げる距離が半歩縮んだとか、ちゃんと前に進んでいることが多いからです。
手前味噌ですが、なつき度診断はそのために作りました。10問・1分で今の距離を点数にして、ブラウザに記録が残るので、翌月にもう一度計ると「前回より+3点」のように変化が見えます。伸びていく数字は、待つ側の心の支えになります。
「なつかない」ではなく、表現がひかえめなだけかも
最後に、いちばん伝えたいことを。
同じ部屋のすみで寝ている。離れた場所からじっとこちらを見ている。廊下でなんとなく待っている。——これらはどれも、猫の静かな信頼表現だと語られます。膝に乗らなくても、その子はもう、あなたのそばにいることを選んでいます。
うちのすずはタイプ診断では「きまぐれツンデレ」でした。甘えの表現が生まれつきひかえめなタイプの子は確かにいて、それは愛情の量とは別の話です。うちの子がどんな表現スタイルなのか気になったら、うちの子は何タイプ?診断でチェックしてみてください。
警戒は、猫が持って生まれた才能。そして時間は、待てる飼い主の味方です。初日にシャーと言われたわが家が保証します。
よくある質問
猫がなつく人にはどんな特徴がありますか?
動きと声が静かで、猫のペースを待てる人がなつかれやすいと言われます。よく聞く「猫が苦手な人ほど猫に好かれる」現象も、視線を合わせず、追いかけず、構いすぎないという猫にとって安心な振る舞いが、偶然そろっているからと説明されることが多いです。
猫がなつくまでの期間はどれくらいですか?
数日で膝に乗ってくる子もいれば、数か月かけてゆっくり距離を縮める子もいて、幅がとても大きいです。保護猫や外暮らしの経験がある子は、時間がかかる側に寄りやすいと言われます。まわりの子と比べるより、先月のうちの子と比べるのがおすすめです。
子猫なのになつかないのは変ですか?
変ではありません。子猫でも生まれつき用心深い性格の子はいますし、人と接した経験が少ないまま保護された子は、警戒からのスタートがむしろふつうです。わが家のすずも、子猫でしたが初日は威嚇まじりでした。
今までなついていたのに、急によそよそしくなりました。なぜですか?
模様替えや来客、新しいにおい、大きな音など、環境の変化がきっかけになることがあるとされています。心当たりを振り返りつつ、しばらくは構いすぎずに見守るのがセオリーです。体調や行動の変化が心配なときは、動物病院に相談してください。
一生なつかない猫もいますか?
「膝に乗ってべったり甘える」という形にならない子はいます。ただ、同じ部屋で過ごす、視界に入る場所で寝る、といったその子なりの信頼表現は時間とともに育つと語られます。甘え方の形はタイプの違いで、愛情の量の違いではないと考えると気が楽になります。
すずからのお手紙
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